FC2ブログ

白い子ねこ

1318620436_106.jpg




うーうーうー

けたたましい救急車のサイレンと
あの心をかき乱すような赤い点滅のライトが
私の横を駆け抜けていった。

その日。

私は体力があればこの大通りを
30~40分歩いて帰る。

今日もそうしていたが、途中で携帯電話が鳴り
立ち止まって知人と長話しをした。
20分ほどであろうか、電話を切り歩いてゆくと
車が行き交う道路の真ん中に、白い毛の塊がみえた。

不安に思い、近づくとそれは
生後2ヶ月ぐらいの子ねこ。
ぐったりと横たわり、動けなくなっていた。

もしかしたら生きているかもしれないと思い
車道の中に入り子ねこを抱き上げると
まだ暖かかった。
生きている感じがした。
いや、「ついさっきまで」生きていたのだ。

歩道の一段高いところに
そのなきがらを置くと
通りかかった男性が足を止め、脈をはかったり
心臓に手を置いてみたりしていたが
彼は首を横に振るだけだった。
やはり、息はなかった。

私は近くの交番に行き、このことを告げるが
警官はキョトンとした顔で「はあ。」と言う。
小動物が轢かれて死ぬのは
アタリマエ。日常茶飯事のことなので。
そう目が語っていた。

私はそのまま歩く。
両手に抱いた子ねこの感触がずっと
残っていた。
子ねこの受けた衝撃が伝わったのか、
こころなしか、両手がじんじんする。

だけど、ひょっとしたら今日
あんなに長話しさえしなければ
あの子ねこを救えたのかも、
もしかしたらあの子ねこの運命は
変わっていたのかも、なんて
おこがましくも思ってしまう。

運命なんて、ほんの些細なことで
180度変わってしまう場合がある。
生死さえ左右する、「ほんの些細なこと」。
運命のジャッジメント。

その審判は下り、子ねこは死んだ。


今日はプレイをしたときに、フトその
子ねこのことを思い出し
目の前のM男性に

「人間、いつ死ぬかなんてわからないしね。
明日死んじゃうかもしれないしね。」

って言ったら

そんなことあるわけないよ
考えたこともない

と笑っていた。

でも、あの白い子ねこは
自分がこの世に生まれ出て
2ヶ月ていどで死ぬなんて思ってもみなかっただろうな
なんて思うのだ。


うーうーうー

今日もけたたましいサイレンの音とともに
胸くそわるい赤い点滅引き連れて
救急車が歌舞伎町を走りぬけるけれど
今この瞬間にもきっとどこかで誰かの
命がなくなっているだろう。
そして新しい命も生まれているだろう。

いきものって、そんな大きな流れの中にいる
ちっちゃな、ちっちゃな点なんだ。
それこそ、「ほんの些細なこと」なんだ。
私は自分が「いきもの」、
「生かされているもの」であると意識した。
エッ?!誰に生かされているのだろう。
スポンサーサイト
[PR]